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しかし、聞いたことあるけど「結局SOPAって何?」って人も多いのではないでしょうか。そして、なぜ騒がれているのか知らない人も多いのではないでしょうか。
SOPAとは
『Stop Online Piracy Act』という法案の頭文字をとってSOPA。海賊行為を目的としたり企業の内部情報を暴露するようなサイト、或いは助長するようなサイトをフィルタリングし、アメリカのコンテンツ産業を守るのが目的です。アメリカ政府が国民のウェブ閲覧をコントロールできます。
どのようにコントロールされる?
裁判所の許可で次のことができます
1.DNSブロック
ISPに命令してDNSを書き換え接続できないようにする。これはウェブの規制で有名な中国、イラン、シリア同じ方法です。
DNSとは?DNSは、ホスト名(例えば"ja.wikipedia.org")の入力があるとDNSサーバ と呼ばれるコンピュータを参照し、そのホストのもつ IP アドレス(例えば"130.94.122.197")を検索するシステムである。例えるなら、DNSは氏名から電話番号を自動で調べる電話帳のようなものである。出典:wikipedia
2.広告会社やPaypalなど決済機関への取引停止命令
疚しいことをしているサイトには大抵、広告が貼ってありますが、広告会社が取引を停止すると”シノギ”がなくなってしまうのでああいうサイトは困ってしまいます。決済機関が止まると善意のカンパすら募りにくくなります(wikileaksでもそんなことがありましたね)。
3.検索エンジンの検索結果のフィルタリング
ほとんどのサイトの場合、検索サイトからのトラフィックが多くをしめます。フィルタリングされると、疚しいサイトはアクセスが激減するでしょう。
4.当然メールも
ウェブサイトだけではなく、対象はEメールも含まれます。
どんなサイトがアウト?
法案の言葉が曖昧で広範囲だそうです。また、アウトなサイト・コンテンツにリンクしているサイトもアウトです。さらに、サイトはユーザーが投稿した内容にも責任を負わなければなりません。
サイトに海賊版のコンテンツや、オンラインの著作権侵害を勧めるような情報をポストすることができる場合、それに対して申し立てをすることが可能です。これは、著作権のある画像をFacebookに投稿したり、著作権を侵害するような情報をコメントとして投稿するような、大したことのないと思われるようなことでも、適用できます。法案の言葉の意味が広範囲で曖昧なので、とても厄介です。出典:lifehacker.jp
ちなみに現在は権利者から通報があったら該当コンテンツ削除したりユーザに警告すれば法的リスクを回避できる仕組みです。
アメリカでは著作権侵害について故意・過失が無くても罰せられる無過失責任制を取っているためインターネットサービスプロバイダ(ISP)には著作権侵害に繋がりかねない事態に対して、漫然とした態度を取らずに取りあえず警告を発するなど迅速に対処する事により法的に罰せられるリスクを回避できるセーフハーバー条項の規定があり、一定の要件を備えた著作権侵害主張の通知を受けた場合には調査・削除義務が生じ、詳しい調査や発信者に対して確認を取る前にコンテンツを迅速に削除・遮断しても罪に問われないというノーティス・アンド・テイクダウン(Notice-and-Takedown)などの回避策を規定してある。出典:wikipedia
いや、日本在住の日本人だし。メリケンのことなんか知るかよ。
確かに法になった場合、直接影響を受けるのはアメリカ人だけかもしれません。でも、私達日本人だってYoutubeやfacebook、twitter、えっちなビデオをストリーミングしているサイトなど、たくさんのアメリカ企業サイトのお世話になっています。SOPAでは法案が曖昧なだけにこれらのサイトが法的リスクを回避するため過剰に自主規制してしまう可能性は十分に考えられます。
海外ではネットを政府の管理下で厳格に取り締まる流れができつつあります。以上のように、そもそもが米国外の問題サイトを対象とした法案であることから、米国の法案でありながら、国外への影響も十分に懸念されます(日本のサービスが米国で著作権侵害と見なされて、各国の Google でブロックされるとか)。また、ちょうど TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)における知財分野の取り組みが話題となっているように、SOPA が施行されれば今度はいかに米国外でも同じ仕組みを導入するかという話になるかもしれません。出典:japanese.engadged.com
SOPAが成立すれば日本でも著作権等に対する議論が活発になるかもしれません。関西人とかにはおなじみのたかじんの番組や全国ネットのビートたけしのTVタックルによく出てる岸 博幸も違法コンテンツに関する問題に真剣に取り組むべきと考えています。10日でサイト遮断が可能。スペインで強力な海賊版対策法が可決ベラルーシによる「インターネットの国境」
はたしてSOPAは対岸の火事なのでしょうか。もしかしたら火の粉は足元まで来ているのかもしれませんね。しかし、ネットの総本山の米国では、ネットをバランスの取れた流通経路とするための揺り戻しと、それに伴う盛んな議論が始まっていることを考えると、ネットに関して日本は何から何まで周回遅れでの米国の後追いしかできないのか、と情けなくなってくる。日本でも、ダウンロード違法化の罰則規定という揺り戻しを関係者が真剣に受け止め、コンテンツ・ビジネスと共生できるネットのあり方についての健全な議論が喚起されることを期待したい。出典:日経トレンディネット
割れを防ぐために規制するのは仕方ないんじゃないの?
そういう政党の方でない限り、SOPAに反対している人の殆どは違法ダウンロードに反対しているし、防ぐべきだと思っているでしょう。彼らが怒っているのは、今まで自由だったインターネットが閉鎖的になること、DNSのサーバ間に不一致性が起きることによるセキュリティの問題、そしてなにより政府(公権力)による検閲とも取られかねない方法での規制です。我々日本人と違い、彼らは歴史的に文字通り言論の自由を勝ち取ってきたので、検閲には別段敏感なのかもしれません。それを証拠に、本来SOPA反対派のはずのコンテンツホルダーの一部もSOPA反対に回っています(勿論割れを容認しているわけではない)。
企業とSOPA
前述したようにSOPAは言論の自由と対立する性格のものです。そのためネットユーザーやウェブでビジネスしている人にすこぶる評判が悪い。IT関係なのに賛成しちゃった日にはお仕事に大きく影響が出てしまうという現状。
このことからコンテンツホルダーの中には葛藤が生まれているものと思われます。すなわち「親会社や業界との兼ね合いでSOPAには賛成の立場に立ちたいけど、潜在的なお客様であるネットユーザーにそっぽを向かれるのはつらい><」って感じです。大手なら熱心なファンがいるかもせませんが、弱小零細には辛いところでしょうね。米メディア各社の報道(InfoWorld、CNET News.comなど)によると、Go Daddyの名前がSOPA支持リストに掲載されると、わずか1日で2万件以上のドメインがGo Daddyから抜けたほか、Go Daddyボイコットを呼びかけるWebサイトが立ち上がるなど、激しい反対運動が起こった。出典:IT pro
ゲーム会社とSOPA
前述したようにSOPAに賛成すると成績や株価に影響が出かねないので、多くのゲーム会社は自社の立場について口を閉ざしています。少ないながらも、何かしらの意見を出しているゲーム会社等について軽くまとめたいと思います。
Bungie - 反対
Heloシリーズを製作した会社。ソース
GoG.com - 反対
DRMフリーでゲームを売っているデジタルディストリビューション。たぶんポーランドの会社だけど。
なんかGoGらしい。ソースSOPA works in a fashion similar to DRMSOPAはDRMと同じ匂いがするぜ。(意訳)
Markus "Notch" Persson - 反対
Minecraftを作った人。SOPAに対する抗議として18日にminecraft.netとmojang.comを落とすそうです。ちなみにこの人はぶっ飛んだ発言をしている。
ソースユーザーのAndresLeay氏:「やぁ、Notch。私は本当に『Minecraft』が好きなのですが、それを買うお金がありません。私は海賊行為が行われるよりもフリーアカウントがあると良いと思います」Markus “Notch” Persson氏:「それなら海賊版をプレイしてください。今後お金に余裕ができ、その時にまだ『Minecraft』が好きなら購入して下さい。そしてそれが良くない行為である事を忘れないで下さい」出典:gamebusiness.jp
NVIDIA - 反対
ビデオカードとか作ってる会社。
「SOPAは海賊行為に対する有効な解決策とはならない」そうです。
ソース
Frozenbyte - 反対
Trineとか作ってる会社。
Youtube:Link
割とイケメンが多い。
Red 5 - 反対
Firefallのデベロッパー。抗議として18日にサイトを落とすそうです。
ソース
Runic Games - 反対
Torchlightつくったところ。「デカイ会社が金に物を言わせて個人の権利を侵害してるで」
ソース
Riot Games - 反対
League of LegendsっていうDOTAゲー作ったところ。
「俺ん所ゲームのストリーミングとかに音楽使ってるし、フォーラムも設置してるし、コミュニティも育たなくなってしまうで。SOPAマジ勘弁」(意訳)
Capcom - ???
「ESAは僕達の法的な代弁者だよ」「あ、でも僕達がSOPA支持とか決めつけないでねー^^ 僕達特にスタンスを表明するつもりないから」という八方美人ぷりを披露しました。さすがカプンコ、期待を裏切らない糞っぷり。
ソース
Nival - 反対
King’s Bounty: Legionsつくった所。「海賊行為とは戦っていくけど、SOPAはアカン」
ソース
Epic Games - 反対
Gears of WarとかUnrealの会社。もちろんESAには所属。
ソース
Sony,Nintendo,EA - 反対
最初は賛成企業リストに入ってたのに取り下げた。でも反対とも言ってない。つまりチキン。ちなみにSonyグループのSony Music EntertainmentとSony Music NashvilleはSOPA賛成リストに入っている。一枚岩ではないようです。
ソース
Trion Worlds, Inc. - 反対
RIFTっていうMMORPGとか作った会社。ソース
うーん、大手を切って賛成!っていう会社が無いですね。やはり、株価や消費者、変なお面かぶった人たちが怖いのでしょうか。
なお、現在RPSがESA所属のゲーム会社のスタンスをまとめ、日々更新しているので、気になる方はチェックするといいでしょう。
僕の意見
SOPAを検閲だ!っていう人が多いですが、僕の中では検閲とは公に発表される前に公権力によってチェックされることってイメージが強いので、少し違和感を覚えます。
まあ、それは大した問題ではないので置いておきますが、SOPAの味噌は国民の知る権利が阻害されるという点でしょう。訴訟社会のアメリカですから憲法訴訟が起きるかもしれません。
まあ、つらつらとSOPAの悪口を書いてきましたが、現状の野放し状態も当然改善されるべきです。
違法ダウンロードというとP2Pやら胡散臭い中華サイトを想像されるかたも多いと思いますが、日本の普通のブログも相当ヤバイです。これを見てください。ブログ村という割とメジャーなブログランキングサイトなのですが、torrentというカテゴリがあって数えきれない程の怪しい事やってるブログがあります。どのブログも広告をベタベタ貼って金儲けをしています。他人の褌ってレベルじゃないです。このブログも海外の記事を勝手に紹介しているので人のこと言えた義理ではありませんが、ここまで堂々とされると開いた口がふさがりません。しかも、全てのブログに「当サイトは違法行為の助長するものではありません。」みたいな事が書いてあって笑えます。こんなもん免罪符になるわけないのに。「〇〇っていう外国人に頼むとお薬買えるよ!小麦粉かもしれないけどね。あ、奨めてるわけじゃないから^^」と言ってるみたいなもんです。面の皮厚すぎです。これは早くどうにかしなきゃ駄目だなってのは分かると思います。
さて、SOPAの有効性について。SOPAはDNSでブロックするのでIPアドレスさえ分かれば回避できます。もっと言えば、TORや他のDNSでも回避できるそうです。はっきり言ってざるです。SOPAを回避するアドオンすらFirefoxにはあります。こんなもん誰も得しないような気すらします。SOPAが決まれば怪しいサイトは地下に潜り、「お礼は3行以上」の時代に逆戻りするだけなのではないでしょうか。
そんな悪法と名高いSOPAですが、残念ながら優勢だそうです。ハリウッドやレコード協会の人たちはお金持ちなのでロビー活動やり放題なのでしょう。哀しいかな政治はいつの時代も金持ちの道具なのです。
最後に。この記事を書いてみて気になったのは予想以上にSOPAが日本で認知されていないことです。ちょっと前に日本中がTPPでどうのこうのやってたのに、SOPAはスルーされています。「TPPで僕達の大好きなニコニコ動画や同人誌が危ない!」とか言ってた気持ち悪い人たちはどこへ行ってしまったのでしょうか。SOPAもよっぽどクリティカルな問題な気がしますが。
現状SOPAを紹介しているのが極一部の知識人とか技術者ばかりなので、読みにくい文章ですがネットが規制に向かっているという事が広まればいいなと思い書きました。今日はセンター試験だし、珠にはアカデミックな話題もいいよね!
-----------2012 1/15追記------------
DNSブロッキングはなくなるそうです。ソース
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