2012年5月24日木曜日

VPN購入とかおま国とかの話

ずっとブログ書いてなくて年1000円のドメイン代がもったいないので今日は日記を書こうと思います。特に面白くはないです。



僕はsteamなどのダウンロード販売で”おま国”(=リージョンロックのこと。分かりにくいので個人的に好きな言葉ではないですが、おま国で広く認知されているのでこの言葉で通します)になっているタイトルをVPNをつかって購入することに強い抵抗感を感じます。というか恥ずべき行為だと思っています。

理由1(不正な行為だから)
VPN利用者は何故VPNを使うのでしょうか。それはおま国だからです。日本だけ値段が高い・そもそも買えないというのは不公平感を確かに感じます。この不利な状況をなんとか回避しようとする気持ちは分かりますが、しかし、不正を働いて良いという大義名分にはなりません。不正に不正で対抗するのは大変愚かに思えます。
例えば雨の日にコンビニに立ち寄って傘を盗まれたり、駅で自転車を盗まれたりすることは誰しもが一度は経験することですが、そこで自分も他人の傘や自転車を盗んで良いわけがありませんし、根本的には解決していません。
こんな事を言うと、VPNは”不正”なのか?という疑問が湧くかもしれませんが、接続元を意図的に騙して売買を行うのは、(少なくとも私は)不正だと思っています。何故ならば、消費者が接続元を偽りそのことで利益を得るのは詐欺的に見えるからです。童顔のオッサンが自分は子供だと言いはって子供料金で電車に乗るのは許されないですよね。

理由2 (そもそもおま国は不正ではないから)
ネットコミュニティではおま国=悪という図式が出来上がりつつあります。おま国が判明すると「糞が」だの「〇〇代理店(××パブリッシャー)はクズ」だのという罵詈雑言が続出する傾向があります。僕も過去におま国を非難したので自戒も込めて言いますが、安易におま国を批判するのはあまりにも短絡的・利己的です。「アメリカ人は$50・日本人は$80」となると強い不満が出るのは一見当たりですが、「なぜおま国が生まれるか」まで踏み込んで考える人がどれだけいるのでしょうか。メカニズム・事情を無視するべきではありません。

では、問題となるおま国発生メカニズムとはどのようなものでしょうか。すぐに思い浮かぶのは地域によるゲームソフトの相場・為替などの差異を吸収するためでしょう。車・ピザ・本・CD・・・アメリカと日本の一人あたりGDPにそれほど差はありませんが、値段が大きく異なる物はたくさんあります。その点に着目するとアメリカと日本でゲームの値段が異なるからといって驚くようなことでしょうか。他国と値段を比べるのは少しナンセンスなのかもしれません。さらにコンソールのソフトと比較すれば、$80や$99という値段も8000円程度が相場のコンソールソフトの値段を考えると妥当だといえます。もっと言えばPCというニッチなプラットフォームでの値段なので良心的とも取れます。
それでもしかし、海外価格に慣れてしまった人からすると納得いかないのかもしれません。現在、多くのPCゲームが北米価格で販売されている現状である事を考えると当然です。それに日本語によるサポートを必要としない人もいます。でも、ゲーム会社は利益を追求することを目的としている事を忘れてはいけないと思います。高くても売れる市場では高い値段で売るというのは、一企業として当然の結果だということです。
そういうわけで、少なくともおま値については以上のことを考慮した上で批判するべきだというのが僕の意見です。

さて、おま国のなかでも価格差の問題については今説明しましたが、発売日が他国と比べ大幅に遅れる・そもそもPCバージョンが発売されない、というおま国もあります。この場合のおま国は妥当な行為といえるでしょうか。
それを考える上でPlayismの偉い人であるイバイ・アメストイが書いた「日本と海外におけるゲーマーにとってのリージョン制限」・・・イバイ・アメストイ「ゲームウォーズ 海外VS日本」第22回がとても参考になります。
このコラムの中でイバイはおま国について以下の理由をあげています。

  • 著作権侵害
  • パブリッシングおよび流通契約
  • ローカリゼーションインテンシブ及び段階的リリース
  • 価格設定
  • 文化の違い
  • リージョンにおけるペアレントコントロール。
どの理由も企業側の視点から見るとそれなりに説得力があり、おま国をするのにも合点がいくように僕は感じました。そのへんは個人の感性によるところが大きいので、是非イバイのコラムをしっかりと読んでみてください。

繰り返しになりますが、おま国批判で大事なのは”ユーザーとしての視点”と”企業の視点”で考えてみるということです。安いほうがいいからという理由だけで批判するのはすこし幼稚ですね。


最後にイバイのコラムに対する批判

おま国の理由付けについて
イバイのコラムの最大の問題点は「なぜ日本だけおま国が多いのか」という疑問に上手く説明できない所だと思います。イバイが上げた理由の多くは日本以外の国・地域にも当てはまるはずですが、北米とは文化・相場・言語のことなる多くの国でおま国が掛けられていることは少ないです(たぶん)。ですからイバイの説明だけでは不十分で、日本特有の何か特別な問題があるのでしょう。ゲーム産業のお膝元だからとか、消費者の立場が弱いとか、コンソールが主流だとか色々考えられますが、僕は業界人でも何でもないので実際の所はよくわかりません。分かる人がいたら誰か教えてください。

おま国が違法行為の大きな原因という意見について
イバイはおま国がクラックなど違法行為の原因になりうることを示唆していますが、さすがに飛躍しすぎの感があるように思えます。そういう人もいるのかもしれませんが、数としてはかなり少ないのでは?クラックまでする人は端から規制に関係なくクラックするのでは???「オープンマーケット」の理由付けにするならせめておま国有り無しで違法ダウンロードの量を示すとかしないとイバイの想像でしかないとおもいます。

脱おま国が異文化理解へつながるという意見について
イバイはおま国の理由の一つに文化の違いをあげ「海外で発売されたゲームが文化的な面をしっかりフォローしていない場合、ユーザーを混乱させたり、時には感情を逆なでする場合もある」と説明しておきながら、締めの文章で「日本と海外の文化的ギャップを埋める橋渡し役を担う事も可能になる」とも言っている。どっちや!
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2 コメント:

  1. おま国である一つの理由にアメリカ合衆国で作られているモノはその州の法律や検査基準に従って作られているからだと思います。
    何もゲームに限らずナイフや銃器等でも同じ事です。
    ebayやその他のオークションサイト、web通販等同じような現象が見られるはずです。
    よく考えれば普通の事だと思いますが。

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    1. 確かに法律等は重要なファクターですね。どの国にも表現物に対する一定の規制はあるでしょうから、外国はOKでも日本ではアウトというケースは多々ありそうです。

      例えばスウェーデンの漫画翻訳家が児童ポルノに関係して起訴された事件がありました。(http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2878341/8953973 )

      こうした法や基準の違いからくるリスクを回避するために「おま国」という自主規制に向かってしまうことも、日本のPCゲーム市場の規模を考えれば仕方ないかもしれませんね。

      ただ、セガやカプコンなど日本のメーカーほどおま国が激しいというのも少し皮肉ですが。

      この記事を書いたものより。

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