2012年3月30日金曜日

チーター問題で僕が思うこと

image by wwarby
PCに限らずコンソールでも度々議題となるチーター問題。昨年末からホットな話題なので今日はこの事についてちょっとしたエッセイみたいな事を書いてみたいと思います。


チーターの問題点1 そもそもチートってなんだ

チーター、チーターと人は言うけど、自分の中ではっきりとしたチートの定義がある人がどれだけいるのでしょうか。チートとはcheatのことで、直訳すると”ズル”や”イカサマ”が当てはまります。とっても抽象的です。何がズルで、何がイカサマなのか、人によって解釈がことなるのは容易に想像できますが、例えばボイスチャットはどうでしょうか。ゲーム操作を中断し、"T"キーを押して文字を入力しコミュニケーションを取るのと声でコミュニケーションを取るのでは明らかに有利・不利が生じます。これズルいと感じる人がいるかも知れませんし、いないかもしれません。または高級なゲーミングマウスやマウスパッド、キーボードを使ってより正確に操作できる環境の人はどうでしょうか。経済的な問題でトスベールやダンボールで遊んでいるひとからすればイカサマだと思う人がいるかも知れません。たぶんいないけど。

一歩進めて、「製作者が意図しない方法で自分が有利になる行為」がチートだ、と考える人もいるでしょう。こう定義すると先ほどの例はクリアされますが、別の疑問が浮かびます。例えば半透明な物がよりくっきり表示されたり、背景と同化して見分けづらいオブジェクトやモデルが見やすく表示されたりする特別な映像補正技術を搭載するモニターがあるとすれば、そのモニターを使うとチートなのでしょうか。そんなモニター聞いたこと無いですけど将来出てこないとも限らない気がします。さらに別の例を上げれば解像度やグラフィックを故意に下げてHUDや敵を見やすくしたりするのはチートでしょうか。聞くところによればCounter-Strikeのプロはわざわざ低解像度で遊んでいるとか。

また、別の面からも疑問が浮かびます。おかしな日本語になりますが、オフライン(シングルプレイ)でチートを使った場合はチートとは言えないのではないか、ということです。オートエイムをオフラインで使った場合、「製作者が意図しない方法で自分が有利になる行為」ですがプレイヤーが一人しかいない以上ズルやイカサマのイメージからは離れます。これはチートでしょうか。

なにが言いたいかというと、一言にチートといっても真っ黒なチートからグレーなチートまであるのではないか、ということです。そしてこの考えが正しければ、チーターかどうか判断するのはとても難しいことになります。



チーターの問題点2 チーターの証明方法

チートには幅があることを上で説明したので、ここからはマルチプレイでオートエイム(エイムボット)を使ったような場合をチートの例として想定します。つまり誰しもが認める真っ黒なチートです。

さて、あなたがゲームをしていて、常軌を逸した速度で正確無比なエイミングをするプレイヤーがいたとします。あなたはこのプレイヤーのチートを証明できるでしょうか。できないと思います。

例えば殺人事件を考えてください。血のついたナイフ、目撃者、指紋、DNA...etcこれら証拠があって初めて容疑者は犯人と証明されるのです。証拠がなければ、どんなに悪そうな面をしていようが、殺人犯の友達がいようが、過去に犯罪を犯していようが、疑わしきは罰せずで無罪放免です。無罪を証明する必要はないのです。(推定無罪)

チートの場合はどうでしょうか。チーターの自白を除いて、チートであることを積極的に客観的に証明する方法は思い浮かびません。あえて言えばチーターの家に出向いてハードディスクを押収し、チートソフトウェアがインストールされているのを確認するぐらいです。

punkbusterなどのアンチチートツールに検出記録があればチーターと認定してよいのでは?と思われる方もいるでしょうが、信頼に足るほど精度を信用してよいのだろうか、という心配も残ります。たとえばゲームプレイ映像をキャプチャーする為にしばしば使われるDxtoryというソフトウェアがありますが、このDxtoryは過去にPunkbusterに誤検知されたことがあるようです。また、クロスヘア(照準)のないタイプのゲームでモニター中央にセロテープを張り、マジックでバッテンを書いて簡易のクロスヘアを作る場合のような原始的なチートには全く意味がないです。
さらに、そもそもアンチチートツールに対応したゲームに対応したチートが出回っている時点で根本的に証明方法として無力であるといえます。

では別の見方してみましょう。不自然なプレイをしていること自体がチーターの証明だ、と言えるかもしれません。前世がチーターだった人でも無い限り100メートルを5秒で走ることは不可能なように(←今うまいこと言いました)、現実的にはほぼ不可能とも言えるプレイをする人はチーターと認めるという考えです。「こんなプレイ絶対チートだろ」みたいなコメントを動画サイトとかにしてるひとはこのパターンです。そのゲームのトッププレイヤーよりも数段上な動きをする人はたしかにチーターの疑いが濃いです。しかし、偶然に偶然が重なり上手く行った場合や、文字通り超人的な反射神経・運動神経、勘と経験でニュータイププレイが成功した場合も考えられなくはないです。さらに言えばあからさまなチートをする人は殆ど無く、より現実的なチートをする人ばかりだろうと思われるのでこの主観的な面の強い理論は多くの場合破綻してしまいます。(チートプログラム的に挙動の正確性に多少のばらつきを生じさせ、あたかも人間がプレイしているように振る舞うことも可能だろう、ということ)

以上のことより客観的に証明できない以上、推定無罪は使えないということになります。いったんチーターだと疑われた場合、容疑者は自分からチーターの疑いを晴らす努力をするか後ろ指をさされることに甘んじなければなりません。






チーターの問題点3 どうやって無実を証明するのか

「はっは!チーターと疑われるほど俺ってうまいのかー」と思えるほど神経が図太いならば別ですが、多くの人はチート疑惑が起こると不愉快な気分になるでしょう。では、どうやって無実を証明すれば良いのでしょうか。ある特定の過去の試合でチートを使っていないことを証明するのは、その試合でチートを使っていたことを証明するより遙かに困難です。プレイに使われたPCにOSがインストールされてからその試合が行われる間にPC上に起きた全ての出来事(ソフトウェアのインストール履歴や挙動、ハードウェアの変更記録etc...)を信頼出来る第三者にチェックしてもらうぐらいでしょうか。現実にはそんな記録はありませんし、チェックも無理です。よって証明は不可能と考えるべきです。ですから、チートを使わなくても神がかったプレイをすることが可能であることを証明するという方法しかない様に思われます。これはチート不使用の証明にはなりませんが、チート使用の目的・動機を否定することで間接的に無実を訴えるということです。
この方法を取る場合、具体的には信頼出来る第三者が用意したクリーンなPCで、その第三者の立ち会いのもとチートの疑いがあるプレイと同等のプレイができるまでプレイする、ということになります。さて、ここで疑問が浮かびます。I 普段とは違う環境で普段と同じプレイを再現できるだろうかという点と、II 偶然によって起きた神プレイだった場合再現は不可能である点と、III 「チートの疑いがあるプレイと同等のプレイ」かどうか誰がどのように判断するのかという点です。

Iについて

普段とは違う環境のPCで、見張り付きで、チートかどうか判定されるという緊張感の中で、100パーセントのプレイができるでしょうか。かなり難しいように思えます。しかも、”多少上手だ”ぐらいでは誰も納得などしてくれません。100パーセントでなければならないのです。

IIについて

闇雲にクリックしたら神プレイになってしまった、という場合は「さあ、もう一度再現して」といわれてもお門違いの要求になってしまいます。何百時間もゲームをプレイしていれば一度や二度ぐらい実力を遥かに超える結果になってもおかしくないです。

IIIについて

チートの疑いを完全に晴らすにはチートの疑惑を持っている人全員が納得するプレイをしなければなりません。では、全員が納得するプレイの基準とはなんでしょうか。そこには客観的な基準などなく、個人各々の主観ですから、どこまでのプレイをすればよいかわからない以上”再現”は不毛な面が強いと言えます。
そのゲームのトッププレイヤーやプロゲーマーが納得するレベルのプレイが一つの基準になるのでは、という主張も考えられます。彼らは深い知識と技術があるので説得力があるように見えますが、同じレベルと言えるかどうかという曖昧な判断は意思決定プロセスがあやふやでプロゲーマー間でも開きがあるでしょうから、、あるプロプレイヤーは白だと言ったが別のプロプレイヤーは黒だと判断した、というような場合が多々起きることが考えられ決定打とするのはやはり不向きに思えます。

以上のことからスーパープレイを再現して無実を証明するというのは全ての人を納得させる完全な方法とは思えません。かと言って他に方法があるかといえば思い浮かびませんから、やはり完全に無実を証明するのは不可能なのだと思います。



落とし所

僕としてはチートの証明・無実の証明が難しい以上、チートかどうかのコミュニティ総意の結論なんて別に出さなくていーじゃんと思っています。個人の自由な考えで、デモやプロゲーマーの意見等を参考に、「〇〇さんはチートっぽいな」ぐらいのフワッとした個人的結論を持てばいいのではないでしょうか。その上でチートっぽいから一緒に遊びたくないと思えばサーバー(ゲーム部屋)から出ていくなりkick voteをかけるなりすれば良いし、サーバー管理者なら勝手な判断でBanすれば良いのだと思います。なんだかんだと理由をつけてそれっぽい証明をしてみたり、、チーターかどうかの議論をするのは不毛な行為です。ましてや、誰もチーターだと断言できない以上、個人攻撃や「違ったら土下座」云々はナンセンス。「この動画みて白(or黒)だと思ってる奴はアホだろ」的なコメントをニコニコ動画や2chに書きこむ人は客観的な根拠を出すべきです。

一行まとめ

チーター問題なんて言ってみれば全部がグレーの色の濃さの問題で、黒も白も無いんだから、ゴシップ的に楽しむ以外は飯くって寝たほうがましだぜ!


なぜこんなにも長々と書いたかと言うと、昨年末に起きた馬騒動の時に僕も一緒になってTwitterとかで騒いだからです。馬の肩を持つわけではないですが、反省の念も込めて書きました。(ちなみに今でも彼はチーターだろうなっと思っています)

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